不動産投資を始めた頃の私は、管理会社選びが重要だと思っていました。
大手の管理会社なら安心できる。有名な会社なら空室も早く埋まる。そのように考えていたのです。
しかし10年以上大家業を続けて感じるのは、会社の名前以上に、実際に物件を動かしてくれる担当者さんの存在が大きいということです。
一方で、良い担当者さん一人に依存しすぎることにもリスクがあります。担当者さんは異動したり、退職したりすることがあるからです。
この記事では、実際にお世話になった担当者さんとの経験をもとに、担当者を見るポイントと、管理会社の仕組みまで確認する理由をお伝えします。
管理会社の名前で入居が決まると思っていた
大家になったばかりの頃は、入居率や空室対策は管理会社の力で決まると思っていました。
そのため、
「どこの管理会社へ任せるか」
ばかりを気にしていました。
会社の規模や知名度が高ければ、どの担当者さんでも同じように対応してくれると思っていたのです。
しかし、同じ管理会社でも担当者さんによって対応は異なります。
- 連絡が早い方
- 入居募集が得意な方
- 修繕対応に詳しい方
- 入居者対応が丁寧な方
- 慎重に確認してから動く方
物件運営では、会社の名前だけでは分からない「人による違い」があることを知りました。
忘れられない担当者との出会い
今までで特に印象に残っているのは、3社目の管理会社で事務と営業を担当されていた20代の女性社員の方です。
長年お付き合いのある社員の方から、
「若いですが、とてもしっかりした方です」
と紹介されました。
実際にやり取りを始めると、その評判どおりでした。
その方の特徴は、とにかく行動と連絡が早いことでした。
例えば、内見中のお客様が別の物件と迷っている時には、
「今内覧中のお客様が他物件と悩んでいます」
「家賃を2,000円下げていただければ決まりそうです」
と、すぐに連絡をくれました。
大家側も状況が分かるため、その場で判断できます。その結果、複数の空室が次々と決まっていきました。
良い担当者は大家と入居希望者をつないでくれる
その担当者さんは、単に部屋を紹介するだけではありませんでした。
入居希望者様から、
「シャワートイレを設置してもらえれば決めたい」
という要望があれば、すぐに大家へ伝えてくれました。
このように具体的な条件が分かれば、大家も費用と入居の可能性を比較して判断できます。
良い担当者さんは、入居希望者様の希望を聞き、その内容を大家が判断できる形で伝えてくれます。
その結果、
- 入居者様
- 管理会社
- 大家
の三者にとって納得できる形を作りやすくなります。
管理会社の担当者さんは、物件を紹介するだけでなく、人と人をつなぐ役割を持っているのだと感じました。
ほかの担当者さんにも助けられてきた
大家業を続ける中では、ほかにも多くの担当者さんに助けていただきました。
最初にお付き合いした管理会社は、最終的に会社を畳むことになりました。
その大変な状況の中でも、当時の担当者さんは新しい管理会社の担当者さんを紹介してくださいました。
また、豊富な経験を持つ担当者さんから、修繕や空室対策について的確な助言をいただいたこともあります。
こうした経験から、実際に物件運営を支えてくれるのは、会社名ではなく現場で動いてくれる人だと実感しました。
良い担当者を見る5つのポイント
現在は、担当者さんとやり取りする中で、次の点を確認しています。
- 連絡や返答が極端に遅くないか
- 良い情報だけでなく、悪い情報も報告してくれるか
- 問い合わせ数や内見状況を具体的に説明できるか
- 大家が判断できる提案をしてくれるか
- 物件や入居者様の状況を気にかけてくれるか
単に話しやすいだけでは、管理能力までは判断できません。
人柄や相性も大切ですが、実際の報告内容や行動も見ながら判断する必要があります。
信頼していた担当者が突然退職した
その担当者さんと信頼関係ができた頃、突然退職の連絡が届きました。
メールで、
「2週間後に退職いたします」
という挨拶をいただいたのが最後でした。
在籍期間は1年ほどだったと思います。本当に残念でした。
担当者さんが変わった後は、以前のような細かな連絡が少なくなりました。
その時、良い担当者さんの存在が物件運営に大きな影響を与えていたことを、改めて実感しました。
良い担当者一人に依存するのも危険
担当者さんの力は重要です。
しかし、特定の担当者さんだけに頼りきっていると、異動や退職によって物件運営が不安定になる可能性があります。
担当者さんは、ずっと同じとは限りません。
- 異動する
- 退職する
- 担当物件が増える
- 社内の役割が変わる
といったことがあります。
良い担当者さんに出会うことは大切ですが、いわゆる「担当者ガチャ」だけに期待してはいけないと学びました。
担当者と一緒に管理会社の仕組みも見る
現在は担当者さんだけでなく、管理会社全体の仕組みも確認するようにしています。
- 空室募集の内容を定期的に報告してくれるか
- 修繕を進める前に相談するルールがあるか
- 入居者からの連絡を記録しているか
- 担当者が不在の時に代わりの人が対応できるか
- 担当者変更時の引き継ぎが行われるか
- 物件情報が社内で共有されているか
担当者さんが変わっても、それまでの経緯や物件情報が社内に残っていれば、運営への影響を小さくできます。
反対に、すべての情報を担当者一人だけが持っている状態では、その方が退職した時に状況が分からなくなる恐れがあります。
相性の良さと管理能力は分けて考える
管理会社を選ぶ時、話しやすさや担当者さんの人柄に安心感を持つことがあります。
もちろん、相談しやすい関係は大切です。
しかし、相性の良さと管理能力は同じではありません。
長く付き合える管理会社かどうかを判断するためには、次の点も確認します。
- 地域での入居募集実績
- 空室が出た時の募集方法
- 報告や連絡の体制
- 修繕見積もりの分かりやすさ
- クレームや滞納への対応方法
- 担当者変更時の引き継ぎ体制
感じが良いという理由だけで決めず、実績と仕組みも含めて確認することが大切です。
大家側も良い関係を作る
良い担当者さんを探すだけでなく、大家側も仕事を進めやすい関係を作る必要があります。
私が意識しているのは、次のようなことです。
- 連絡を受けたら、できるだけ早く返答する
- 判断が必要な時は結論を曖昧にしない
- 分からないことは質問する
- 助けてもらった時は感謝を伝える
- 一方的で無理な要求をしない
- 重要な内容は記録に残す
管理会社と大家は対立する関係ではありません。
同じ物件を運営するパートナーとして、相談しながら進めることが大切です。
管理会社と担当者を確認するチェックリスト
管理会社や担当者さんを見る時は、次の順番で確認すると分かりやすくなります。
担当者について
- 相談しやすいか
- 連絡が取りやすいか
- 報告内容が具体的か
- 物件を気にかけてくれるか
- 提案に納得できる理由があるか
管理会社について
- 募集力や地域での実績があるか
- 報告・修繕・入居者対応の仕組みがあるか
- 担当者以外にも相談できるか
- 担当者変更時に情報が引き継がれるか
- 大家の考えを聞きながら進めてくれるか
担当者と会社の両方を見ることで、一人の担当者が変わっても安定して運営できる状態に近づきます。
まとめ|良い担当者と、担当者を支える仕組みを見る
管理会社選びは大切です。
しかし、実際に大家や入居者様とやり取りし、物件を動かしているのは担当者さんです。
良い担当者さんに出会えれば、空室や修繕の判断が早くなり、物件運営が大きく改善することがあります。
一方で、担当者さんは異動や退職によって変わる可能性があります。
そのため大切なのは、
- 会社名だけで決めない
- 相性だけで決めない
- 担当者の行動を見る
- 管理会社の仕組みも確認する
- 大家側も良い関係を作る
ということです。
良い担当者を見る。ただし、良い担当者一人には依存しない。
これが、10年以上大家業を続けて学んだ管理会社選びの教訓です。