空室が続くと、
「家賃を下げた方がよいのではないか」
「あと数千円安ければ決まるかもしれない」
と考えることがあります。
私自身も大家になった頃は、空室が出るたびに家賃を下げれば決まると思っていました。
しかし、10年以上大家業を続けて感じるのは、空室の原因が必ずしも家賃とは限らないということです。
家賃を下げること自体が悪いわけではありません。ただし、原因を確認しないまま焦って値下げすると、収支を長期間悪化させる可能性があります。
今回は、家賃を下げる前に確認したいことと、値下げを検討した方がよいケースについて、実体験からお伝えします。
家賃を下げれば決まると思っていた
大家になったばかりの頃は、
空室=家賃が高い
と思っていました。
空室が続くと、
「あと2,000円下げれば決まるかもしれない」
「5,000円下げれば問い合わせが増えるかもしれない」
と考えていました。
特にローン返済があると焦ります。家賃収入が入らなくても、毎月の返済や固定費は変わらないからです。
しかし今振り返ると、焦って家賃を下げなくてよかった部屋も多かったように思います。
家賃は下げるのは簡単でも、戻すのは難しい
家賃の値下げは、管理会社へ連絡すればすぐにできます。
しかし、一度下げた家賃を元の金額へ戻すことは簡単ではありません。
例えば家賃を5,000円下げた場合、
- 1年間で6万円
- 10年間で60万円
の差になります。
さらに、同じアパート内で家賃差が生じると、既存入居者様とのバランスにも影響する可能性があります。
一度下げた家賃が、次回募集時の基準になることもあります。
だからこそ、「空室だからとりあえず値下げ」ではなく、本当に家賃が原因なのかを先に確認します。
家賃を下げる前に確認したい5つのこと
1.問い合わせと内覧の状況
最初に確認したいのは、入居までのどこで止まっているかです。
- 問い合わせ自体がない
- 問い合わせはあるが内覧につながらない
- 内覧はあるが申し込みにならない
問い合わせがない場合は、家賃・募集条件・写真・掲載方法を見直す必要があるかもしれません。
内覧はあるのに申し込みにならない場合は、家賃よりも室内や共用部分の印象、設備、周辺環境などが原因になっている可能性があります。
原因によって、必要な対策は変わります。
2.周辺物件との比較
現在は、家賃を下げる前に周辺の競合物件を確認するようにしています。
SUUMOやアットホームなどの募集サイトで、次の条件を比較します。
- 部屋の広さ
- 築年数
- 設備
- 駐車場の有無
- インターネット無料の有無
- 敷金・礼金などの初期費用
条件が違う物件と、家賃だけを単純に比較することはできません。
自分で調べてみると、自分の物件だけが高いわけではない場合もあります。反対に、相場より高く募集していることに気づく場合もあります。
感覚で判断せず、条件をそろえて比較することが大切です。
3.部屋・共用部分・募集写真
家賃が原因だと思っていたら、実際には部屋や写真の印象が原因だったこともあります。
- 壁紙や床に目立つ傷みがないか
- 設備に不具合がないか
- 室内が暗く見える写真になっていないか
- 部屋の広さが伝わる写真になっているか
- 共用部分が汚れていないか
- 照明切れや放置物がないか
現在は、インターネット上の写真で第一印象が決まります。
家賃を変更する前に、候補として選んでもらえる見せ方になっているかを確認します。
4.管理会社の募集状況
空室が続いた時は、管理会社へ具体的に確認します。
- 問い合わせは何件あったか
- 内覧は何件あったか
- 内覧した方からどのような反応があったか
- 決まらない理由をどう考えているか
- 競合として比較されている物件はどこか
- 募集サイトへ正しい条件と写真が掲載されているか
確認してみると、
- 駐車場が足りない
- 設備が古い
- 写真の印象が弱い
- 初期費用が高い
- そもそも問い合わせが少ない
など、大家だけでは分からない理由が見つかることがあります。
5.家賃以外に見直せること
空室対策は、家賃を下げることだけではありません。
これまで私の物件では、次のような改善を行ってきました。
- モニター付きインターホンの設置
- LED照明への交換
- 無料Wi-Fiの導入
- レバー式水栓への交換
- 室内物干しの設置
- 募集写真の撮り直し
大きなリフォームをしなくても、入居者様が日常で感じる不便を解消することで反響が変わることがあります。
ほかにも、AD、フリーレント、初期費用の見直しなど、家賃を維持したまま行える対策があります。
ただし、設備やADも万能ではありません。物件の状態を整え、空室の原因を確認したうえで選ぶことが大切です。
それでも家賃を下げた方がよいケース
私は、家賃を絶対に下げてはいけないとは考えていません。
次のような場合は、値下げを検討する必要があります。
- 条件をそろえて比較しても、周辺相場より明らかに高い
- 長期間、問い合わせがほとんどない
- 繁忙期を逃し、次の機会まで長期間空室になる可能性がある
- 競合物件との条件差が大きい
- 写真・募集条件・設備などを改善しても反響が変わらない
家賃を守ることだけにこだわって空室が長引けば、その間の家賃収入はゼロです。
大切なのは、
「すぐに値下げする」
でもなく、
「絶対に値下げしない」
でもありません。
空室の原因と長期的な収支を確認したうえで、必要なら家賃を調整することです。
値下げする時も、結果を確認する
家賃を変更する場合も、変更して終わりにしません。
- いつから変更したか
- 問い合わせが増えたか
- 内覧が増えたか
- 申し込みにつながったか
を確認します。
反響が変わらなければ、家賃以外に原因がある可能性があります。
対策と結果を記録しておくことで、次の空室が発生した時の判断材料にもなります。
大家10年で学んだこと
以前の私は、空室が出ると「家賃が高いのではないか」と考えていました。
しかし実際には、募集写真、設備、初期費用、管理状況、管理会社の募集活動など、別の原因が隠れていることも少なくありません。
現在は、空室が続いてもすぐに家賃を下げません。
まずは、
- 問い合わせ状況
- 競合物件
- 部屋と写真の状態
- 管理会社の募集状況
- 家賃以外の改善方法
を確認します。
それでも家賃が原因だと判断した場合に、値下げを検討します。
「まず調べる。そして判断する」
この順番が大切だと感じています。
まとめ|家賃を下げる前に原因を確認しよう
空室が続くと不安になりますが、空室の原因は家賃だけとは限りません。
家賃を下げる前に、次の順番で確認します。
- 問い合わせと内覧の状況を調べる
- 条件をそろえて周辺物件と比較する
- 部屋・共用部分・写真を確認する
- 管理会社へ具体的に聞く
- 家賃以外の改善方法を検討する
そのうえで必要なら家賃を調整します。
家賃を守ることと、空室を長引かせないことの両方を考えながら、長期的な収支を見て判断することが大切です。